つい先ごろも北斗晶さんが罹患したということで話題になった乳がん。

乳がんは年間2万人の患者が発生しているという、実は女性にとっては珍しいとは言えない病気です。
私も4年前に早期の乳がんを見つけ、治療しました。実際に乳がんになって、なんとなくそれまで思っていたことと実際は違っていた!ということがいくつかあったので、それについてお伝えしたいと思います。

1)乳ガンは痛いときがある

乳ガンは痛みがなく進行するため、月一度のセルフチェックなどで見つけることが大事、とよく言われます。まったく分からないうちに進行していた、というのは病院で知り合った他の患者さんからも聞きました。
ただ私の場合、右の乳房にわずかにチリチリする痛みがありました。ほとんど無意識に触ったら、そこにしこりがあったため驚いて受診したのです。北斗晶さんや作家の栗本薫さんも「痛みを感じた」と乳ガンを見つけたときの状況を文章にしています。
一方でまったく痛みがなく、触診で見つけたという人ももちろんいるのでセルフチェックは重要です。ただ逆に「痛みがあるから、がんじゃない」と思っている知り合いもいました。そんなことはありません。痛みがあろうとなかろうと、しこりに触れたらぜひ検査に行ってください。

乳房のしこりを調べるのは産婦人科ではなく乳腺外科です。インターネットで近場の乳腺外科を探して見ました。結果は翌週とのこと。腫瘍があるからといって悪性とは限りません。良性の場合もありますし、良性から悪性に変化することもあります。ただ私の場合は悪性腫瘍で直径1cmでした。そこは検査だけしかしないところで、手術ができる近場の大学病院に紹介状を書いてもらい、予約して受診。
大学病院での検査は、問診・触診・マンモグラフィに超音波検査、そして、しこりに針を刺して細胞を取る細胞診。
(検査についての説明はここをどうぞ・乳がん情報ネット・乳がんの基礎知識>検査

大学病院の検査機械は感度がいいのか、しこりをもう一つ見つけました。しかし細胞診によると後から見つかったものは良性とのことでした。元々のしこりはやはり悪性で直径1cm、ステージⅠと呼ばれる「早期の乳がん」。5年生存率98%とのことで深刻になる必要はないと感じました。

2)すぐに手術になるとは限らない

手術に向けた各種の検査を8月に丸一日かけて受けました。全身に他にがんがあるかを調べるPET検査というもの。そして心電図など、がんには直接関係はないけれど、手術して問題がないかどうか全身の状態をチェックする検査をいくつか受けました。
検査を受けながら「早期発見を、とあれだけ呼びかけられているのだから手術も早いのだろう」と思っていました。9月に結果が出るとのことで、出たらすぐ手術なんだろうと。ところが実際の手術日は10月半ばでした。一月待たされました。一般的に乳がんは進行が遅い。10年かけてやっと直径1cmくらいになる程度のスピードが普通なのでそれほど急がないらしいのです。
そうとは知らずに9月のスケジュールを空けてしまい、後で「先に片づけておけばよかった」と後悔した事柄がいくつかありました。

そして10月に手術のため入院。

3)手術の時間は流動的

私の手術は午後一番で、主治医は午前中にも二つ手術を行う予定だとは聞いていました。ところが朝一番の手術が切開してみたところ予想と違っていたために大幅に時間がかかり、私の手術は二時間近く遅れてはじまりました。手術前は飲食禁止なので、待つ時間が長引くと結構辛かったです。時間つぶしにお茶を・・・と思って「ああ、飲んじゃいけないんだ」と思いとどまることの繰り返しで病院をうろうろしていました。待っていた家族もいつ始まるんだ、と焦れていたそうです。
始まってしまえば、乳房の表面近くに小さい腫瘍があるだけの私の手術は単純だったらしく、同室の人は「行ったと思ったらすぐ帰ってきた」と言ってました。しかし本人は全身麻酔で寝ているので分からないんですけどね。

4)子どもは案外強かった

入院期間中、一番心配なのは子どもたちのことでした。上は小学校高学年でしたが、下は幼稚園児です。私は専業主婦だったためそれまで家にいるのは当たり前だったのに、入院で何日も空ける。下の子は初めて家にお母さんがいない何日かを過ごすわけです。上の子はそれこそ、下の子の出産のときに経験があるわけですが。下の子は甘えん坊なので心配しましたが、案外ケロッとしてました。
「お母さんお手紙かいたよ」と絵本のような手紙を見舞いに持ってきてくれたりして、こちらはほろっとしました。しかし、それ以外は普通に生活していたようです。その後の治療期間も家では普段通りで、逆に幼稚園や学校でストレスが出ていないか心配したのですが、先生に面談で聞くと「普段と変わりないですよ、強いお子さんですね」とのことでした。親が心配したわりに子どもは強かったようです。むろん、子どもにより個人差はあるでしょうけどね。

下の子がかいた手紙

記事の見出しの画像も手紙の一部です。

術前に聞いていた腫瘍の大きさは1cm、実際には1.5cmの腫瘍が一つ。たまに手術で切開してみると検査で見つけられなかった小さい腫瘍が複数あった、という話もあるらしいのですが、私の場合は単純なものでした。
病院では術後のリハビリテーションも行います。切除範囲が大きい人は大変そうでしたが、私はリンパ腺を取ったわけでもないので手術前と比べても感覚はほとんど変わりません。腫瘍は表面に近かったので乳房の形もほとんど変化がなく、現在私は温泉などにも平気で出かけています。
そして退院前に聞いた手術後のスケジュールは、一か月後に手術で取った腫瘍の病理検査の結果を聞く。何もなければ最後の仕上げの治療である放射線療法で一カ月連続で病院に通うことになる、とのことでした。私個人は「よし、後は放射線治療でおしまいだ」と思って色々これからの計画を考えていました。

ところが、一か月後病理検査の結果を聞きに行くと「一番タチの悪いタイプなので、抗がん剤による治療が必要です」。

急きょ、色々考えなければいけなくなってしまいました。

5)化学療法開始は早い

手術は一月以上待ったのに、化学療法はスケジュールの都合がつくなら出来るだけ早く行いたいとのこと。しかも抗がん剤治療は二回目からは日帰り治療になるけれど、最初はトラブルがないかチェックする必要があるため一泊入院して治療と言われました。しかもその場ですぐに検査日を決めてください、と言われました。
しかし、翌週は色々スケジュールが入ってました。子どもの学校の係などでキャンセルは可能ですが、こういう仕事は人数ギリギリでやっているので抜けにくいのです。「ならばあさっての土曜日は」と言われ「え、そんなに早く?しかも子どもの発表会の日」。手術は待たされたのに、あまりに急なのでビックリです。子どもに心配かけたから発表会くらいは見てあげたい、と思ったのですが、よく考えると発表会は二日連続です。本来児童だけが参観する日に学校に頼み込んで見学をすれば検査は出来ます。
翌日に発表会見学、翌々日の土曜日に検査を入れ、検査結果を翌週に聞き、翌々週入院、ということになりました。元々の受診が夕方遅くだったのに急に翌日からのスケジュールが立て込み、あわただしい。

抗がん剤治療前でもこれだけ予想外のことが起きて「やっぱり病気って大変だなあ」と思いました。自覚症状のない早期の乳がんなので、自分の感覚だけなら健康なのです。それでも色々と考えたり日々の生活の中で処理しなければいけないことが増えました。
そして、抗がん剤治療を受けるようになってから、予想外のことはますます増えました。

病気というのは本当に危機管理能力が試されます。日頃から自分に何かあったときにはどうすればいいか、どう情報収集すればいいか、考えてみる習慣が必要だなと思いました。実際のところはいくら想像していても現実とはズレがあるのですが、例えば「胸にしこりを見つけたら、受診する場所は産婦人科ではなく乳腺外科」と最初から知っていたことで、診断まではスムーズに進んだわけです。
逆に「早期だし大丈夫だろう」と思って抗がん剤治療についてはほとんど調べなかったため、その後の治療では色々とバタバタした生活になってしまいました。ちゃんと準備しておけば違ったろうに、と何度思ったことか。

予想していても色々と違うことは多いのですが、それでも知識は持っておいて損はない、そう思ってこの記事を書きました。
読んでいただき、ありがとうございました。

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