タモリさんの「How About This」(1986年)ってアルバムを御存知ですか?

タモリさんのアルバムってのはだいたいギャグアルバムっていうかお笑い系だったりすることが多いですが、これもレコジャケが超渋いようでよく見ると結構ふざけて遊んでますけど、

しかし中身はタモリ氏の見事なジャズセンス、音楽センスがよく出た、お笑い系ではない、ちゃんとしたジャズボーカル&AOR&ボッサの好盤なのです。

出典 YouTube

確かにタモリ氏のvocalはかなり控え目に歌ってらっしゃる印象があるんですけども、曲、アレンジ、演奏の洗練されたハイクオリティーさと音の厚みはAOR的にもジャズ&クロスオーバー的にもかなりのもので、そういう意味では意外なほどに捨て曲一曲もなしの見事さですね。


vocal曲はゴダイゴのトミー・シュナイダーさんが英語詞を書いてる「I Got Something Romantic」「Harvest Moon」以外は全てタモリ氏の作詞で、曲の方も、この時期「今夜は最高!」に出ていたザ・プレイヤーズのピアニストだった鈴木宏昌氏のインスト曲1曲を除いて全てタモリさんの曲。


アレンジは鈴木氏とサウンドプロデューサーも務めるギタリスト・松木恒秀氏とタモリ氏が 担当してますが、まあアルバム自体のプロデューサーはタモリさんですけど、この三人がこのアルバムの要という感じですね。


タモリさんはボーカル以外にもバックボーカル、トランペット、フリューゲルホーン、コルネット、フルート、ヴィブラハープにフェンダーローズ、ピアノにシンセサイザー他などなどを様々に担当。
 


バックメンバーは、
鈴木宏昌(フェンダーローズ、ピアノ)、
野力奏一(フェンダーローズ)、
松木恒秀(ギター、Eベース、ピアノ、コーラス、リンドラム)、
高水健司(Eベース)、
石橋敬一(アコースティックベース)、
ドラムスに村上秀一、市川康、馬場高望、
コーラスにタイムファイブ、
トランペットに河東伸夫、荒木敏男、林健一郎、宮下明、
サックスにMALTA(solo)、ボブ斉藤、清水万紀夫、淵野茂雄、砂原俊三、西山健治、平内保夫、清岡太郎、岡田澄雄(ジョージオカダ)、
ストリングスにジョーグループ


といった面子で、スタジオミュージシャン系よりは寧ろかなりの大御所ジャズメンの一流どころが集結しているところがタモリさんの(というか鈴木宏昌氏関連の)アルバムらしいですね。


最初の「l Got Something Romantic」は、ビッグバンドをバックにわりとタモリ氏が朗々と歌っているジャズボーカルが様になっている良曲。


続く曲は、転調多しの楽曲がスティーリー・ダン的な「Lazy Afternon」も、「Midnight Friendship」も、渋いスロー曲で最後の(たぶん)タモリさんのトランペットソロもいい「In The End Of This Night」も、タモリ氏のvocalがイマイチ弱いというか控え目すぎるとは思うものの、曲とアレンジと演奏はもはや完璧で、極上AORな名曲ずくし。


これ、誰か本格的なジャズシンガーかAORシンガーにカバーして欲しいなと思うほどの良曲ばかりですね。


後半はインスト曲が多く、主にタモリさんのトランペットやフリューゲルホーンやフルートなどの演奏がメインの曲が多いですが、こちらはトランペッター・タモリ氏のクロスオーバージャズっぽい感じになってて、曲も演奏もかなりいい、中々に洗練されたクロスオーバー曲ばかりですね。


特に、この中では鈴木宏昌氏唯一の曲「In The Movement」のタモリさんのトランペットがJAZZトランペッター近藤等則的に決まっていて特に秀逸。


vocal曲も、タイムファイブが全面的にコーラスでバックアップした豪華なジャズコーラス曲「Harvest Moon」は、まるで男性ばかりのシンガーズアンリミテッド(アメリカの男女混声コーラスグループ)みたいでかなり厚みのある楽曲。





そして最後はオープニングの「I Got Something Romantic」repriseのボサノヴァバージョンで、この最後の曲がタモリさん作曲のボーカル曲としては一番決まってますね。

出典 YouTube

今の晩夏のこの季節に合うすっきりしたボサノヴァ曲なので、ミュージシャンがよく出演していた、今週最終回を迎える「ヨルタモリ」で、ギターの松木恒秀氏を招いてタモリさんに久々に歌って戴きたかったですね。

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タモリ

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大口和久/これまで「季刊カイエ デュ シネマ ジャポン」(フィルムアート社)、「文藝別冊」(河出書房新社)、「映画芸術」(編集プロダクション映芸)、「観ずに死ねるか!傑作ドキュメンタリー88」(鉄人社)他に書きました。

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