青年は「ネクタイ屋さんのにいちゃん」ということで
徐々にビジネスマンの顧客さんが少しずつ増えてきた頃だった
その頃
こういうキャッチフレーズが世に浸透してきた・・・・・

それがこの

ネクタイ一本売れるのにもドラマがある
と気付きの日々
本当にスローな歩幅で前進していた頃
「ネクタイせんようになったから 夏は選んでもらわれへんなあ」
「・・・・・そうですよね」
そんな軽い空虚感と
これからどう切り込めば良いのかと考えていた
丁度その時

センツァクラバッタ

という文言を使うメンズ雑誌が増えてきた
イタリア語でセンツァとは「外す」という意味で
クラバッタとはネクタイの事である
そう 字の如く
ノータイ
それがブームになった

・・・・「もうネクタイは前のように売れない」
ようやく
あの地獄のようなアイドルタイムだらけの日々から脱したのに
また大きな壁が立ちはだかる
「どないしよ・・・」
だが、青年は ここでまた学習する
マイナスがあればプラスが必ず生じる事を・・・・・・・・・・
そういうバランスで世の中がまわっている事を

今までネクタイを着用する事で
あまり注目されることのなかった
ドレスシャツ達が
革命を起こしてきた
それも 物凄いスピードで
Vゾーンを装っていた色とりどりのネクタイ達のかわりに
今度は台襟の極端に高いシャツを
JKの下に着る事で
存在感がでる

そんなシャツを
我々は
こう呼んだ

TRE BOTTONI(3つぼたん)

今みると
なんとセンスの悪い・・・・・・・
としか言いようがない
そんなシャツ
カラーボタン やステッチ達
ムチウチにあったかのような 襟の高いシャツ
それをセンツァクラバッタ(ノータイ)で着る
そんなシャツがイタリアからやって来たのさ・・・・
青年は「ナンダコレ??」
と思った
それが最初に見た時の感想
それが大量に入荷された・・・・
ダマシダマシ青年は
店頭に飾った・・・・・・・
そして自らも着てみた
「首にコルセットしてるみたいや・・・・・・
服として売れるわけがない]
そんな青年の予想に反して
消費者は飛びついた
そうなのだ

なんと火が着いた・・・・・・・

まるで
瞬間湯沸かし器のように
急速に水がお湯にかわる
そしてその沸騰したお湯がなかなか冷めない

口コミのみで広がり
皆さんシャツめがけて入店してこられる
当時¥12.000-で売っていたシャツが
ネクタイとは比べようのないスピードで消化されてゆく

「ナンダコレハ・・・・・・」
まるでセルフ感覚で売れてゆくシャツ達
またあの時の感覚が蘇る

売れれば好きになる

青年はその
シャツ達に愛着がわく
着ていると
友人 知人 お客さんが
「ええやん」と誉めてくれる
電車に乗っていると
「そのシャツどこで買ったんですか?」と
尋ねられる
誉められ慣れていない青年は
有頂天になり
余計シャツが好きになる
そんな中
ある媒体の記者さんが
「取材したい」と言ってくださった
1ページの特集を組みたい
貴方とシャツで・・・・・・
願っても無いチャンスである

そのメンズ誌が発売された

乏しいボキャブラリーで必死に答えたインタビュー

発売次の日から
店の電話が鳴りまくる

雑誌に載っていたシャツはありますか?

北海道の方や大阪ではない方々の問い合わせが殺到
今のようにネット通販などがない時代
振り込んでもらって
梱包して
送る
それが1日紙袋20袋はあった・・・・・・
シャツバブル到来
である

「雑誌見て来ました」という若い子達も増え
あんなにも入店が少なかった店内が
いつも満員状態になった・・・・・・

そして
キッチリと
青年の鼻はノビテユクのだった
それはまた次回のオハナシ

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大阪でメンズのセレクトSHOPを2店舗経営しています
現場で起こる人ありきの実体験を綴っております。

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