《俺が生まれる前から母さんは精神の病を抱えていた》

俺が生まれる何年も前に完治はしていたらしいけど、母さんは精神病を患っていたらしい。そんな母さんがある日、交差点のところで交通事故にあった。

《交通事故がきっかけでまた精神病がぶり返した》

完治したはずの精神病だったが、交通事故がきっかけで母さんの精神病はまた悪くなった。事故で右足と右腕が痛くて動かせなくなり、首も激痛が走るようになりそれを気に病むようになったのだ。当然外にもあまり出れなくなり、だんだんうつ状態になっていった。

《毎日、性格が変わる母さん》

うつ状態から母さんの性格が毎日コロコロ変わった。あんな母さん、見たことなかった。暴れる、泣き出す、暴言を吐く、もうどうしていいかわからなかった。挙句の果てに俺に包丁突きつけたり、首に縄を巻いていたり。本当に辛かったがでもそれも一時的なものだった。

《頼れる人も居ない!母さんと俺の真っ向勝負!》

俺には父親もいたが、仕事で忙しく1年のほとんどを海外で暮らしていた。他に頼れる知人や親戚もいないので、俺は自分で対処しなきゃいけなかった

《とうとう母さんは精神病院へ》

今思うと可哀想だが、母さんはとうとう精神病院に入院することになった。俺も受験だったので勉強もしなきゃいけない。一向に回復しない母さんの相手ばかりをしてはいられなかった。

《閉鎖病棟で俺の名前を呼ぶ母さん》

母さんの入院先は精神病院独特の雰囲気の閉鎖病棟。一度見舞いに行ったら、母さんは部屋の隅っこに座って俺の名前を泣きながら呼んでいた。もうどうしようかと思った。

《少し良くなった母さんが退院してきた》

さすがに精神病院で、母さんは懸命な処置ののちちょっと症状が良くなったので退院することになった。でもこんどは叫んだり取り乱す代わりに「記憶が前後がごちゃまぜ」になっていた。

《15歳の俺が母さんの中では2歳になったり8歳になったり》

精神の病気は記憶にまで悪さをするのは恐ろしいものだ。15歳の俺を目の前にして、母さんは時々赤ちゃん言葉で話しかける。俺を2歳だと思っているのだ。ある時は8歳の子供に話しかけるように接してくる。俺が何歳だか認識できないようだった。

《行動力だけは人並み以上にあるがゆえに》

もともと出かけるのが好きだっただけに、精神を病んでも母さんは出かけずにはいられなかった。でも歩行能力がそれほど回復していないのに無理に歩こうとするから転んでたくさん怪我をしていた。でも俺も受験勉強がラストスパートに入っていて見てみぬふりをしていた。

《血まみれになりながらスーパーに買出しに行って》

ある日俺が学校から帰ると母さんがキッチンの隅に座り込んでいて、足元に大きな袋が転がっていた。またもや転んで怪我をしていた母さん。どうやらスーパーに買い物に行ってきたようだ。

《買出しした材料でサンドイッチを作ってくれた》

母さんはとにかく焦っていた。まるで義務のように「サンドイッチを作らなきゃ」とつぶやきながら。包丁を持つ手も危なかしかった。母さんは作っている途中でも「明日は一緒にお出かけしようね」とか「運動会だね」などと言っていた。そして俺が気に入ってくれるかとっても気にしていた。昔の記憶が錯綜しているみたいだった。

《母さんのサンドイッチを持って入試に》

次の日、とうとう俺の入試の日が来てしまった。おれは母さんが精魂込めて作ってくれたサンドイッチを持っていった。午前中の試験が終わり、母さんのサンドイッチを食べた。昔作ってくれたサンドイッチの味だった。

《午後の試験で眠ってしまい、夢を見た》

母さんの病気に惑わされながらもがんばってきた受験勉強。ここ一番でがんばらなきゃいけないのに、母さんのサンドイッチを食べたらなぜか眠くなって1問も解かずに眠ってしまった。今でもその時の夢は覚えている。俺が母さんに抱きしめられている夢だったんだ。

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