文字通り、母の股下から「生まれ落ちた」男児。予期せぬ突然の出産にパニックになる母。片目が全く開かない息子を心配する両親に、後日医師が告げたのは「無眼球症」という先天性疾患だった。

2010年10月、寝室の床に生まれ落ちたエイデン

出典 http://www.mirror.co.uk

イギリスのチェスターフィールドに住むヴィクトリア・プライア(31歳)は、2010年陣痛の痛みに耐えられず病院へ行くが、まだ早いということで助産婦に一旦家に帰された。

家に帰ってとりあえず鎮痛剤を飲み、お風呂に入った。その直後、ヴィクトリアは激しい痛みを感じ、夫アンソニーを呼び、急いで寝室に移動しようとした。しかし、間に合わず子宮の中の胎児が滑り出て来たのだ。そしてへその緒が切れてエイデンは寝室の床に落ちた。

予期せぬ出産で、しかもへその緒が切れたので二人はパニックに。エイデンが床に頭を打ち付けなかったかどうか心配した。すぐに救急車が到着し病院へ。しかし、両親はこの時にエイデンの片目が全く開かないことに気付いていたのだ。

エイデンは「無眼球症」という先天性疾患を持っていた

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「生まれた時、エイデンの片目が全く開かなかったんです。私が産み落とした時に失明させたのかと思って恐怖に戦きました。救急隊員にそのことを告げたらすぐに検査に回してくれて、翌日結果がわかったんです。」

生まれ落ちた時になったのではなく、お腹の中にいる時に片目が形成されなかった「無眼球症」だと医師から告げられた時、ヴィクトリアは、自分が生み落としたせいではなかったとわかって安堵したものの、やはりショックだった。

「妊娠中はほんとに健康に過ごしてたんです。どうして!?って思ってかなり落ち込みました。でも検査の結果、遺伝性のものだとわかりました。」実は、エイデンの父アンソニーとアンソニーの父のスティーブが、小眼球症を患っていたのだ。

小眼球症(しょうがんきゅうしょう)とは、眼球の先天的な疾患の一つ。眼球が小さいことから、この名がある。症状は、先天的な全盲となる。ただし程度が軽い場合は、視力が弱まる(遠視になる)だけで済むこともある。

染色体の欠損が原因となり、眼球の形成時に体液の排出が不完全で、眼球の形成が不十分となるのが理由。どこかの機能が壊れたのではなく、眼球の形成そのものが最初から十分にできていない。特に、網膜に異常があることが多いようだ。

片目だけで起こることもあり、両目とも起こることもある。程度がひどい場合には無眼球症(眼球がない疾患)となり、この場合は義眼を装着するのが普通。重度の疾患ではあるが、知性には影響がないのが普通で、また、他の身体部位にも影響がないのが普通である。健康にも問題がなく、十分長命になるのが普通である。

視覚以外には特に大きな問題がないので、精神疾患や寝たきりと違い、本人はそれなりに幸福な人生を送ることができる。周囲はあまり悲観的にならないことが好ましい。

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2012年にエイデンの弟オリバーが生まれた

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オリバーは無眼球症として生まれては来なかった。生後、検査を受けたが小眼球症でもなかった。しかし遺伝性による疾患なので、将来オリバーが子供を持った時に、ひょっとしたらその子供が先天性疾患を持って生まれて来る可能性もあるというが、今はわからないということだ。

エイデンは、生まれて4週目にノッティンガムの専門クリニックで、義眼を装着した。成長と共に、その大きさも変えなければいけない。しかし、義眼が大きくなってくるとその重みで痛さを引き起こすようになった。

去年、特別なインプラントを試みるも合わず

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エイデンの両親は、医師から去年4月に、眼窩に永久的にフィットさせるセラミックの眼球のインプラントを薦めた。8月に手術を試みたが、エイデンには適合しなかった。「頻繁に出血して可哀相でした。瞼を特殊な糊で接着してもらったんですが、剥がれてしまって。10月に同じ手術をしたけど、それもうまく行かなかったんです。」

残された選択は、お腹の皮膚を移植しエイデンの眼窩に付けることだと言われた。その手術以降、エイデンの目の痛みは和らぐようになったという。そして来月8月に、新しい義眼を装着するエイデン。9月には学校が始まる。母はエイデンのシャイな性格と、義眼によって更に内向的になってしまわないか心配している。

「どうして僕はオリバーのような目じゃないの?」

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「自分にどうして義眼を入れるのか理解できていないんですが、弟のオリバーと違うことだけはわかっているみたいで、どうしてオリバーと僕の目は違うの?って聞いてくるんです。」

今、エイデンはチャリティ団体からのサポートを受けている。エイデンの義眼ではない方の片目には「奥行感覚」がない。全て平らに見えてしまうのだ。そのため、普段の生活でも、デコボコや段差がわからずよく躓いたりしてしまうので、注意が必要なのだ。

しかし、それ以外は普通の生活が送れるということだ。今、装着している義眼はほとんどエイデンの眼と変わらない色なので義眼かそうでないかの見分けはほとんどつかない。

ヴィクトリアは、エイデンが生まれて4週目から装着してきた義眼を保管してあるという。「成長した時に、見せてあげたいと思って。エイデンの成長の証でもあるから。出産は悪夢だったけど、生まれてきてくれたエイデンは本当に素晴らしい子供です。」

今後も弟のオリバーと仲良く、そして9月からの小学校生活をエンジョイして欲しい。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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