今までの記事でもわかるとおり、私は高校教員として、生徒達に「心が育っていなければ、いくら点数が取れても、いくら良い大学に行っても意味が無い」と日頃からしつこく話している

では、具体的に、どういうことに注意すれば「心は育つ」のか、生徒に話していることをまとめてみようと思う

あいさつ

まずは「あいさつ」である。大人でもあいさつが出来ない人は意外といるものである。生徒にはこう話している

「授業の始まりと終わりの「お願いします」「ありがとうございました」よりも、廊下ですれ違ったときの自然なあいさつの方が100倍重要だ。5回同じ人(先生)とすれ違ったら、5回ともあいさつしなさい」

言い続けると、私が教室に行くと「あいさつの嵐」になる。高校3年生、18歳の集団が一斉にあいさつしてくる。とにかくみんな「しつこいくらい」にあいさつする。でも、私はこう言う

「担任とか、知っている先生にあいさつするのは当然のことであって、知らない人にこそ、元気で明るいあいさつをしなければならない」

こうすることによって、前を向いて廊下を歩けるようになる。常に周りを見ながら、気持ちの良いあいさつができるようになるのだ。うつむいて、伏し目がちに歩く生徒はいない。1年生の頃から言い続けている「あいさつがその学校の第一印象」ということが生徒にはしみこんでいる。これは、社会に出ても当然「あいさつできる社員が多い会社は良い印象を持たれる」ことにつながる。営業とか、販売ならなおさらだ。入社試験の段階で、自然な明るいあいさつができる若者を企業は評価するに違いない。

スマホ世代だからこそ、あいさつの重要性を説くべきなのだ。人と人とのコミュニケーションの第一歩である「あいさつ」は、スルーされがちだが、「心を育てる」のに、とても大切なことである。「あいさつなんて面倒だ」「知らない人にあいさつする必要など無い」と思う大人を、社会が必要とするだろうか。少なくとも私の関わった生徒達はあいさつのできる大人になってほしい。それこそが「教育」における「伝えるべきこと」の1つであると確信している

整列

高校生くらいになると、「整列」が適当になるものである。私もそうだった。

しかし、私のクラスではそれを絶対に許さない。「番号通りに並ぶ」ことで「我慢する心」を育てるのである。

好きな人の近くに並ぶと、私語が始まるため、「静かにするように注意」することと「ちゃんと並ぶように注意」することで、結局仕事が増えることになるというのもあるが、「番号順に並ぶ」というのは、長期的に見て、様々なメリットがあるのだ

最初にこれをちゃんと話して、クラスとして取り組めるようにしておくと、いちいちルールに対して文句を言わなくなるようになる。これが重要なのだ。

だいたい、「番号順に並ばない生徒」というのは、ものすごーく周りをよく見て「あのクラスも番号順に並んでないのに、なんで自分だけ注意されなければいけないんだ」と必ず言う。何を隠そう、私がそうだったのだ。

そういう、「昔の私」のような生徒には「はじめ」が肝心なのである。

4月の段階で、整列の重要性をちゃんと話し、それを実践することで、5〜6月頃には誰も文句を言わなくなる。「番号順に並ぶこと」が当たり前になるので、結局うるさいクラスというのは、番号順に並んでない場合が多く、おっかない先生に「静かにしろ!」と怒られているのを見て「なんで番号順に並ばないんだろう・・・。怒られるのは目に見ているのに」と思えるようになるのだ。

細かいルールにいちいち文句を言わない。こういうことも高校教育という「子供と大人の狭間」の生徒達にちゃんと伝えなければいけないことである。ルールは守るためのものである。会社に入って、決められた順に並べないなんてことはありえない。できて当然のことを高校段階でしっかりと習得させるべきなのだ。

掃除

これも、心を育てるのに重要な要素であり、生徒にしつこく話している内容である

ポイントは「手伝う」ことである。

サボらないなんて当然すぎて話したくもない。自分が掃除が休みの時、自分の担当が早く終わったとき、そういう時にこそ「その人の心」が「行動」として見えるのだと伝えている。

ウチのクラスの生徒は、もう、言われ慣れているので、黙っていても掃除を手伝うし、それについていちいち「自分、手伝ってます」なんて誰も言わない。

これこそ、「心が育っている」という証拠なのだ。

掃除を手伝う。高校3年生がそれを当たり前のようにやっていたら、皆さん、どう思うだろうか?私は毎年普通の光景だが、こういうことも、「言い方1つ」でできるようになるのだ。「今の若い者は・・・」なんてよく言われるが、全然そんなことはない。ちゃんと伝えれば、きちんと行動できる若者は、私が高校生の時より、確実に今の方が多いと思う。問題は「大人のスタンス」なのだ

頭髪、服装

これも、非常に大切なことである。

「ルール」というものが「校則」として、どの学校にもあると思うが、これをきちんと守る、守らせることが大切である。

ただ「怒る」「叱る」事は誰にでも出来る。怒鳴れば良いのだ。

しかし、生徒も子供ではない。ちゃんと向き合って話し、「ルールをしっかり守ることの大切さ」を「理解して、自分で守る」ことが大切なのである。

これがちゃんとできないと大人になって損するのは生徒なのである。「どうせ言うこと聞かないから」という理由でほったらかしにしてはいけないのだ。向き合う「勇気」も大人には大切なのである。

高校生は「見た目で自分の主張」したがるものだが、それは決して正しいとは限らないことを伝えるようにしている。完全に否定するものではないが、少なくとも高校生であるからには「ルールである校則」を守るべきなのだ。その辺を一方的では無くきちんと伝えるようにしている。

これは私は「1年生の最初」の段階でしっかりと伝えるべきことだと考えている。学年が進んでしまうと「去年はオッケーだったのに、なんで今年はダメなんだ」という感じになる生徒が必ず出て来る。そういうものだ。

指導の観点は一貫していなければならない。ブレてはいけないのだ。主張は大人になって、自分が所属した組織の「ルール」の中で主張すれば良い。見た目を主張する仕事もあれば、仕事の中身を主張しなければいけない職場もある。それを高校生の段階できちんと伝えることにより、生徒は多少厳しめのルールでも文句を言わなくなる。これが「心の成長」につながるのである。

これら4つの「心を育てるための行動」に共通すること

今まであげた「4つのこと」に共通することがおわかりだろうか?

それは、「点数にならない行動」だということだ

すなわち、「やらなくても減点されない」「やっても加点されない」行動なのだ。あいさつ、整列、掃除、見た目、全てが「成績と無関係」なのである。「この生徒はあいさつがきちんとできるから、5点あげよう」とはならない。やってもやらなくても通知表の成績は変わらないのである

しかし、このように「点数にならない行動」でしか、基本的に心は育たないと私は感じている。こういうことがきちんとできるようになると、周りの大人(先生方)からも、友人からも、後輩からも「素晴らしい人だ」と認められるようになる。いきなり認められるのではない。日頃の行動の積み重ねが、その人の「評価」になっていくのだ。

「点数だけ取れる人間になるんじゃない」というのは、こういうことである

点数にならない行動をしっかりできるような、「損得」だけで動くのでは無く、「心のこもった行動」ができるような、そんな生徒を育てたいと常に思っている。

実際に今年の生徒達も、きっちりと心を育てて、色々な場所で高い評価を受けているのだ。

例えば、ボランティア活動に参加したときに、その主催の方に褒められたりとか、たまたま進学説明会に行った学校の方に褒められたりとか、そういう「外部の方」に評価されている。

しかし、生徒にとっては「なぜ、褒められるのか、不思議だ」と口々にいう

そこで私は、そういう話を聞いたとき、教室でこう言うことにしている

「当たり前のレベル」を上げる

人が「当たり前」と思うレベルは様々である。一番分かりやすい例が部活動である。

強豪校は「厳しい練習」が当たり前であるので、それほど強くないチームの練習を見たら「なんで、もっときつい練習をしないのか」と不思議に思うだろう。そうしないと勝てないことを知っているからである。

これが普通の社会での生活にも見事に当てはまる。

「当たり前」と思えるレベルが高い人は、物事を中途半端にせず、打ち合わせを入念に行い、ミスも少ない。それがその人にとって「当たり前」だから、なんとも思わずに、普通にそういう行動ができるのだ。

生徒も同じように、日頃のこちら側の指導如何ではあるが、「当たり前のレベル」をクラスとして引き上げることができれば、「ちゃんとやること」がクラスとして「当たり前」になるので、ドンドン集団のレベルが上がっていく。こういうことが、卒業式の涙になり、卒業後の感謝につながるのだ。

大人になって、そして、親になって初めてわかることもある。高校生という短い期間だけを見るのではなく、大人になった後の数十年を見据えて教育というものは行われるべきなのだ

そこに必ず出て来る、「心を育てる」という問題

我が息子達は小学生。「手伝う」とか「ルールを守る」とか、当たり前のようにやるが、いつの頃からか、その「境目」が曖昧になる。

しかし、高校でもこのように、「点数にならない行動」について、ちゃんと話し、注意してやれば、生徒は十分すぎるほど心を育て、立派に巣立っていくのである

親としても、この「心を育てる」ということの大切さを感じながら毎日過ごしているが、生徒を「預かる」身として、どのように生徒を育てるかというのは大きな問題である。

私は、「進路決定」と同じくらいの重要な課題として、この「心の成長」を生徒に毎日、毎週、毎年欠かすことなく話している。そうやって、生徒達は口うるさい担任から、最初は嫌々であるが、言うことを聞き、気付ければ心を大きく育てて、自分が、自ら「ちゃんとルールを守らないとダメだ」なんて言い始めるのだ。たった数年で大きく生徒は変貌する。ビックリするくらい成長するが、私にとっては毎年のことであるのだ。

「ダメな生徒」なんて見たことない。




明日は平日。また、笑顔で教室に行こう。素敵なあいさつが私を包んでくれるから。

一杯褒めてやろう。

「大人が褒めると心は育つ」のだ。

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