「私と同じ道を辿って欲しくないから、どうか、どうか、GP(クリニック)のドクターは診断を決めつけてしまわないで。腰の痛みを訴える人がいたら、注意して病院に回してあげて。」

悲痛な思いで訴えるのは、骨肉腫で余命わずかと宣告された幼い子供の母親(33歳)だ。

15歳の時に腎臓移植を受けた

出典 http://www.dailymail.co.uk

イギリスのバーミンガムに住むカーリー・フィッツシモンズ(33歳)は、13歳の時に腎不全を患い、15歳で腎臓移植手術を受けた。これにより、念願だった出産も経験し、子供にも恵まれた。

しかし、喜びは束の間。カーリーを腰の痛みが襲ったのである。

去年4月に娘、グレイシー誕生

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パートナーのジェイソン(40歳)とはカーリーが21歳の時に出会った。2013年に初めての子供グレイシーを妊娠した時、二人は天にも昇る気持ちだったという。

しかし、出産前にカーリーは子癇(しかん)前症と診断された。そのため緊急帝王切開での出産となり、グレイシーは未熟児で生まれた。

子癇前症は常位胎盤早期剥離(胎盤が通常より早い時期に子宮からはがれてしまうこと)の原因となることがあります。胎盤の機能不全や早産などが原因で、正常より小さい子供が生まれる場合があります。妊婦が子癇前症の場合、出生直後の新生児に問題が起こる可能性は、子癇前症がない場合と比べて4~5倍高くなります。

出典 http://merckmanuals.jp

生まれてから暫くは、酸素マスクを付けられチューブを通されていたグレイシーだったが、体調が落ち着き徐々に体重も増え始めたので10週目の退院となった。

スポーツインストラクターだったカーリーは、日々運動して身体を錬えていたし、自分の身体のことはよく知っていた。出産して3カ月後に、インストラクターとして仕事復帰した。

ところが、仕事中に腰の痛みに気付いたのである。気になったカーリーは早速GP(クリニック)へ行った。

しかし、GPのドクターは「ただの筋肉痛でしょう。産後、すぐに運動したからですね。あと、産後うつもあるんじゃないですかね。」と診断。一応フィジオセラピストを紹介してもらったが、肝心のカーリーの病には何一つ気付かなかった。

しかし…カーリーは骨肉腫に侵されていた

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筋肉痛と言われて納得行かずに、それでもまた仕事に戻ったカーリー。しかし、痛みはどんどん激しくなっていった。何度かGPに行くも、いつも「筋肉痛と産後うつ」で解決しようとされた。

何回か通ううちにも痛みは増すばかり。やがて、眠ることもできなくなり、痛みで歩けなくなってしまった。泣きながら助けを請うようになったのだ。

そしてようやく、GPがカーリーを病院での検査にまわしたのが7カ月後のことだった。スキャンで、足の大部分に「大きな塊」があると言われた。更に去年12月の23日、MRI検査で、末期の骨肉腫が発覚したのである。

「まさか最初で最後のクリスマスになるなんて」

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MRI検査がちょうどクリスマス前だったというのもあり、結果は年明けと言われ、病院のスタッフらに「クリスマス、楽しんでね!」と言われたカーリー。娘が生まれて初めての家族3人でのクリスマス。

しかし、このクリスマスがカーリーにとって最初で最後となってしまったのだ。1月に結果が出て、カーリーは骨肉腫と宣告された。

病院は、化学治療で骨肉腫をなんとか縮めようとした。しかし、急速に成長していった。カーリーは言う。「7か月前に、GPに痛みを訴えた時に病院に回してくれていたら、まだ治療法があったかもしれないわ。」

自分でも去年のMRIスキャンの前に「絶対おかしい」とわかっていたという。「皮膚からなんか盛りあがってるのがわかったのよ。それが骨盤の辺りや足に行ってたわ。もう既に色んな所へ転移してたのよ、きっと。」

右足切断、そして骨盤の一部も切断したが…

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今年5月に、足の切断しか助かる方法はないと医師に言われ、切除手術を行った。「手術して3日間は自分の姿を見られなかったわ。でも娘が会いに来てくれて、娘の顔を見たら生きてて良かったって思えたの。」

GPの誤診により7カ月も放ったらかしにされたカーリー。自分の身体の具合に気付いていながらも、GPの紹介状がなければイギリスでは病院の専門家に診てもらうことができない。そしてこのGPでの誤診が、ここ最近目立つのだ。

骨肉腫の成長スピードは速い。7カ月の間にカーリーの中できっとどんどん成長していたのだろう。気付いた時には既に手遅れだったのだ。

ようやく母になれると思った矢先

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足と骨盤切除の後、6週間後に退院したカーリー。「家に戻れてホッとしたわ。これで家族でまた生活していけるって思った。足が1本しかなくても、母親業やって見せるわ、って思ってたわ。」

しかし、そんなカーリーを痛みがまた襲ったのだ。先週、術後のための検査をした結果、がんが肺に転移していることが発覚。もう治る見込みはなく、余命あとわずかと宣告されてしまったのだ。

「すごくショックだった。そんなに早く!?って。もう娘の成長もこの先見ることができないのかと思うと本当に辛い。娘を残して行くのが辛い。」

「自分が亡くなることを残念に思うよりも、残されていく娘とパートナーの気持ちを思うとやり切れないわ。」

カーリーは声を大にして言いたいと言った。「亡くなる前にどうしても言いたい。GPのドクターは、お願いだから産後にママが、腰痛を訴えても、簡単に片づけないで。ただの腰痛とか産後うつとか決めつけないで。絶対に検査をさせてあげて。」

正直、イギリスに住む筆者もこのGPが怖い。ここしか行く所がないからだ。イギリスではそれぞれ家の近くに登録してかかりつけのGPに行くのだが、専門医がいないため、こちらが散々「紹介状を書いてほしい」と言っても、医師によってしてくれない場合がある。

筆者もカーリーのように、何度も何度もお願いしたが「こんなぐらいで、専門医には紹介できません」と言われた経験があった。しかし、治らないまま、日本に帰り専門医に診てもらったところ、正しい治療と薬ですぐに治ったのだ。

イギリスで暮らしているとこういう医療システムが怖い。誤診で亡くなっている人も日本よりも遥かに多い。病院に行けるまでに手遅れになってしまうからだ。

カーリーも、どれだけ悔しいだろうと思う。あの時、もし…という言葉が何度も頭によぎったはずだ。しかし、余命数日と言われどうすることもできない。

残されていくまだ幼いグレイシーの為に、周りはチャリティ活動で子供の成長の為の寄付金を募っている。グレイシー自身は幼い故にまだわからないと思うが、カーリーの気持ちを思うとやり切れない。

イギリスの医療は政府の予算で成り立ってる故、無料というのは嬉しいが、誤診されて命を落としてしまうのでは、日本やアメリカのように治療費を払って、すぐに専門医に診てもらえる方がよほどマシである。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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