我々教員というのは「人を育てる」職業である。
人を育てるというのは、明確な「目標」というモノを持つのが難しい

私は、生徒に良く「心」の話をしている

いくら点数が取れたとしても、いくら良い大学に言ったとしても、大人になったときに、「人が集まるような人間」にならなければ意味が無い。人は一人では仕事は決してできないからだ。

それは「人に合わせて生きていく」という意味ではない。自分の考えを言うことはとても大切だし、グローバル社会の中、おとなしく良い子ちゃんだけでは通用しない。しかし、自分の意見だけを通すような社員を会社が必要とするだろうか?こういう世の中だからこそ「最低限」のルール、マナーをしっかりと守れる大人を採用したいのではないだろうか?

具体的に「どうすれば心が育つのか」は別記事として書きたいと思うが、今日はとりあえず、最近目にした「心が育っている場面」を紹介したいと思う

先日、仕事帰りに、車で普通に運転していた

すると、ちょうど、道を渡りたそうなカップルがいたので、前の車と私の車の間を少し開ける形で私が停車した。まず、彼氏が先に渡り、その後、彼女が渡る。大学生だろうか?初々しいカップルである。

彼女が渡ろうとしたとき、ふいに、私の方を向いて、目が合ったのを確認して、彼女は会釈をした。

歩行者が道路を横断しようとしていて、ちょうど自分の前が空いたら、普通、車は車間距離を空け、歩行者を横断させようとする。何のことはない、普通の行動だ。

しかし、彼女は、私に会釈をしたのだ。そして、少しはにかむような笑顔でもう一度軽く会釈をしながら、急ぎ足で道路を渡っていった

こういうことだ。

こういうことであるのだ。これが「心が育っている」ということである。会釈しなくてもいい。普通に渡れば良いのに、止まった私にわざわざ、しかも、2回も会釈した。これは、誰が教えたのかはわからないが、普段「感謝の気持ちを持って行動しなさい」とたぶん誰かが言っているんだと思う。部活の先生なのか、保護者なのか、先輩なのかわからないが、そういうことを言われていることによって、心が育っていき、今回のような行動が普通にできるようになるのだ

もちろん、言われなくても、最初からこういうことをできる素晴らしい人もいる。が、そういう人はまれである。だから、我々教員はこういう「心が育った」生徒を育成すべく、毎日「授業以外」の指導をやっているのだ。教員は授業ばかりやっていると思ったら大間違いである。

授業は当然のことだが、授業「だけ」で心を育てるのは非常に難しい。心に響く話をしている暇が無いのだ。だから、HRなどを使って、生徒に話をしていく。これについても、別記事で語っていこうと思う

今回、こういう行動ができたあの彼女の話を、私は教室で生徒にするだろう。そして「感謝の気持ちを持てて、実行に移せるような、そういう素晴らしい大人になりなさい」というだろう。こういうことができるようになれば、自然と周りに人が集まるだろうし、企業もそういう人間を欲しがるだろう。能力だけ高ければ何でも良いのかという話である。点数では見えない「心」の部分にこそ、その人の本質が現れると思うのだ

久しぶりに「ああ、この人、素晴らしいな」と思える若者と出会った。自分の教え子達はみな素晴らしいが、あのように「他人に対して」「自然と」素晴らしい行動が全員取れるかというとちょっと私も自信が無い。あそこまでしっかりと行動できるそんな卒業生を一人でも多く輩出できればと思う。

前に書いた、「褒める」こともそうであるが、こういうちょっとした行動ができたら、ぜひ子供達を褒めて欲しい。ちょっとしたことであるが、大切なこと。それを今の社会は忘れかけているのかもしれない。しかし、子供達は、驚くほど素直に、スポンジが水を吸収するかのように、こういう話を聞く。そして、実行に移そうとするのである。

若者の可能性を広げるためにも、我々大人が彼らを「認め」「伸ばしていく」ことが大切である。具体的に学校で何を学ぶべきか、それほど難しいことではない。が、それはまた、次回の話である

名前はわからないが、あそこで会釈してくれた君、君のおかげで、また一人、素晴らしい大人の話を高校生にできます

本当に、ありがとう

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