納豆のほか、日本に”臭う”おいしい食べ物があるように、世界にももちろん、納豆にひけをとらない独特のにおいを放って人々を魅了している食べ物があります。一体どんなものがあるのでしょう。世界の”臭くておいしい”ものを、のぞいてみましょう!

1.吹き出します!

出典 http://www.gettyimages.co.jp

これを缶詰めにして開けると・・・

 まずはスウエーデンから、「シュール・ストレンミング」。スウェーデン語で”シュール(Sur)”は酸っぱいを、”ストレミング(strömming)”はバルト海のニシンを意味します。にしんの塩漬けを缶に入れて、発酵させたものです。実はこれ、世界一の臭い食べ物とされているのです。それは、魚が腐った臭い、または生ゴミを直射日光の下で数日間放置したような臭いともいわています。よく見ると、缶の真ん中あたりがふくらんでいるはず。そう、これが発酵している証拠。開ける際は要注意。必ず屋外で。室内で開けてしまうと、数日間、臭いが消えません。缶にビニールをかぶせることもお忘れずに。というのも、開けた瞬間、シューっとガスが噴き出すのです。それを見て失神してしまう人もいるそう。その発酵のすごさがおわかりでしょう。内容物が衣服等にはねた場合、完全に臭いを取り去ることは不可能。このシュール・ストレンミングを食べようというイベントを、筆者はテレビで見たことがありますが。参加者の皆さん、エプロンをしてましたっけ。もちろん、屋外で食べていました。
塩気の強い、シュール・ストレンミング。食べる際は、じゃがいも、にら、トマト、赤スグリや赤カブを付け合わせにするか、スライスしたタマネギとブラーナ(ヤギ乳のバターにクリームとシナモンを加えたもの)とともに、堅パンまたはクラッカーに載せます。食べる前にウオッカなどの酒類、または牛乳などで洗うこともあり、アクアビット(北欧の蒸留酒)で洗うと臭みが減るとか。ビールのおともに最適だそう。臭いのほどは、かなり強烈なようですが。実際かいでみないことには、やはり何ともいえません。いや、しっかりかぐことができるかどうか、怪しいものです。(笑)でも味わう際は、これだけの援軍(?)が一緒ならば、なんとか口に運べそうですね。鼻をつまみながら食べることになりそうですが。現在、筆者が是非とも食してみたいもの、ナンバー・ワンです。
 食欲ヒト一倍、”冒険心”ヒト三倍なあなたが、もしシュール・ストレンミングを購入したら。どうぞお気をお付けを。発酵が進み、缶が爆発する事もあります。大変危険ですので、必ず冷蔵庫にて保存を・・・

2.韓国版くさや?

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こちらもソウルフードです。

続いて韓国の、「ホンオ・フェ」。エイの切り身を壺などに入れて、発酵させたものです。韓国語で”ホンオ”はエイを、”フェ”は刺身を意味しています。シュール・ストレミングが世界一臭いなら、このホンオ・フェはアジア一臭い食べ物とされています。それはアンモニアのような臭いといわれますが。特に韓国全羅南道の港町、木浦(モッポ)の本場ものは凄まじいアンモニア臭がして、涙を流しながら食べることになるとも。口に入れた後に、マッコリで流し込むのが通の楽しみ方だそう。臭いものは、強いアルコールとやはり相性がいいいようです。発酵させればさせるほど身が柔らかくなり、美味とされるホンオ・フェ。その臭いから外国人や初心者には敬遠されますが、韓国では高級食品のひとつ。本場では、結婚式など冠婚葬祭に欠かせないごちそうなのです。脂っこいものを食べたあとは、ホンオ・フェの辛くてさっぱりした味がたまらないという人も多いそう。コリコリとした食感は、食べ慣れてくれば、きっとおいしく感じることでしょう。キムチと一緒に食したり、ダイコン、せり、キュウリなどと共に唐辛子酢味噌であえたり。工夫次第でアンモニア臭もそれほど気にせずいただけそうです。ホンオ・フェは、プサン、ソウルなどでも食べることは出来ますが。全羅南道以外で供されるものの多くはごく普通のエイの切り身であることが多いそう。やはり本場が一番なようです!

3.今のはそれほどでも。

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食べやすくなりました・・・

今度はニュージーランドから、「エピキュアーチーズ」です。缶の中で2、3年の長期熟成によって作られるこのチーズ。缶を開けると、乳酸菌発酵にともなう臭いが広がるとのことですが。今のエピキュアチーズは、実はそれほど臭くはないのだそう。ニュージーランドの最大企業であるフォンテラの乳製品ブランドが、36ヶ月という長期ながらも通常の熟成方法で製造しています。現在では、缶入りで熟成させたものは、なかなか見つからないかも、とのこと。味の方は。長期熟成のおかげでしょうか。他のチーズよりも濃いと感じる人が多いようです。塩味が薄めでまろやか、だとも。元々はかなりの臭いを放っていたチーズであることは間違いないのですが。時代の流れとともに、一般により受け入れられやすいよう、通常の製造方法で作るようになっていったのかもしれません。もちろん、数は少ないながら、缶入りも探してみれば見つかると思いますが。現代のエピキュアーチーズは、他のチーズ同様、密封パック入りだそう。どうしても伝統的なエピキュアーチーズが食べたい!というのであれば、ニュージーランドへ行った際、缶入りを探して旅してみてはいかがでしょうか。

4.これも漬物?

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鳥のピクルス?

続いては、「キビヤック」。グリーンランドのカラーリット民族やカナダのイヌイット民族、アラスカ州のエスキモー民族が作る伝統的な漬物の一種です。発酵料理の王様とも呼ばれる珍味。強烈なインパクトのあるこのキビヤック。アパリアスなる海鳥を捕獲。そのままの状態で涼しい場所に1日から2日間放置して冷やします。そして、アザラシの内臓や肉をすべて取り除いたものに、そのアパリアスを数十羽から百羽ほど詰め込みます。それを地面に埋めて数か月~数年放置。味付けは特にしません。最後にアザラシを掘り出して、中から発酵して液状になったアパリアスを取り出して食すとのこと。食べる際は、アパリアスの尾羽を除去した後、総排出口に口をつけて内臓をすするようにします。肉も、皮を引き裂きながらそのまま食べ、脳味噌も食するそう。なかなか野性的な食事ですね。味はとても濃厚な鶏肉に似ているのだとか。見た目のインパクトと裏腹に、親しみやすい味?更に、液状になった内臓を調味料として焼いた肉などにつけて食べることもあります。
実はこのキビヤック、様々なビタミンを豊富に含む健康食品としても知られています。滋養強壮にも良いとのこと。現地では、結婚式などの祭事の際には必ず用意されるごちそうとして好まれています。見た目もさることながら、その臭いもなかなかだと想像に難くないのですが。食べてみれば、やみつきになってしまうのかもしれませんね。保存食としても珍重されているキビヤック。寒さ厳しい苛酷な環境を生き抜くためにこの地の人々が生み出した、優れた食品なのです。実は、日本を代表する冒険家である故植村直己さんは、グリーンランドでエスキモーと共同生活を送った際、このキビヤックに出会い、以後好物の一つに挙げています。となると。冒険心旺盛な方の口には、よく合うのかもしれませんね。

5.スナック感覚で。

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レベルアップもできます!

こちらは臭豆腐。中国の発酵させた豆腐。特に台湾名物とされますが、香港でも見かけます。実は筆者はこれが大好きなのです。臭いがしてくると、これだ!とすぐにわかります。屋台でもおなじみの、スナック的存在。かの西太后も大好物だったとか。その作り方は。植物の汁と石灰等を混合し、納豆菌と酪酸菌によって発酵させた漬け汁に、豆腐を一晩程度つけ込んで出来上がり。豆腐表面の植物性タンパク質が、漬け汁の作用で一部アミノ酸に変化し、独特の風味と強烈な臭いを発するようになるのです。焼いたり煮たり、揚げたり。おでんの具にしても良さそう。特に焼いた臭豆腐には、辛味噌がよく合います。台湾の臭豆腐の人気店の中には、臭さの度合が選べるお店もあるそうで。台湾の人々が、どれだけこの臭くて美味なるものに愛着があるかがわかります。とはいえもちろん、皆が皆、臭豆腐が好物というわけではないそうですが。
臭豆腐は確かに臭いは強烈です。1ヵ月歯を磨いてない人の口臭やら、アンモニア臭とか、ドブの匂いなど、実に様々に形容されますが。食してみると、意外や、口の中にその臭いが充満するというほどではないことがわかります。今や台湾B級グルメの王道といった臭豆腐ですが。元々は中国本土の湖南省の風土食。とりわけ湖南省長沙の臭豆腐は有名。その漬け汁は真っ黒で、白い豆腐が黒く変色してしまうほどです。これも辛いタレなどをつけて食べるそうなので、その色も気にならないくらい、やみつきになるほどの味なのでしょう。台湾夜市で見かけたら、是非お試しあれ!臭い食べ物に、愛着がわくようになるかもしれません。

6.臭っても・・・

 食べ物にはにおいがつきもの。それが”臭”か、”香”かの違いだけ。どんなにおいでも、その味はやはり確かめたくなるのが人間の好奇心というものです。”臭”のにおいも十分魅力のうち。世界を見渡せば、日本と同様、ちょっと変わり種の臭くておいしい食べ物があるものです。上記のエピキュアチーズ以外のチーズやキムチも、発酵のおかげで臭う、おいしいものですよね。臭くなったのは、製造の結果にすぎません。臭っても、美味ならばよし!皆さんも、海外で出会った未知の食べ物に強烈な臭いを感じたら・・・口にしてみませんか。臭いことがいかに美味なるか、再発見できるかもしれません。

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Maggie Cheung このユーザーの他の記事を見る

香港、台湾、中国そしてタイが大好きで、アジアをこよなく愛する心の旅人。英語は仕事で、中国語は趣味。スピリチュアルや占いにもちょっとうるさいライター。自身のレーダーがとらえた情報を、考察をまじえつつ発信していきます。

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