においが独特、ヘルシー、かつ、おいしい。日本を代表するそんな発酵食品といえば。皆さんはやはり納豆をあげることでしょう。実は日本は発酵食品大国。納豆以外にも、色々な発酵食品があります。今回はそれらをご紹介!

1.中国がルーツ?

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地酒も使ってます。

まずは、「豆腐よう」。沖縄の伝統食品です。紅麹(お酒や味噌を作る際に使われる麹の一種。紅いのでこう呼ばれます。)と泡盛などで作った漬け汁に、豆腐を長期間漬け込み、発酵・熟成させたもの。琉球王朝時代、当時の中国の王朝、明から伝えられた”腐乳”が元になったといわれています。使用される豆腐は、沖縄の島豆腐。普通の豆腐よりも堅めで水分も少な目。それが、豆腐ように適しているというわけです。その舌触りはねっとりとしていて、濃厚にして上品。味は、ウニの風味にチーズを合わせたようだとも。なるほど、元になった”腐乳”って、正にチーズですから。となると、ワインにも合いそうですね!なかなか高貴な雰囲気漂う感じの食品ですが。実は豆腐ようは、琉球王朝時代、高貴な人々の間で病後の滋養食としても重宝されたそう。タンパク質が多く、胃壁の保護したり、コレステロール合成を阻害したりという効果があるとのこと。健康食品でもあるのです。ただし。泡盛を原料としているので、お酒が苦手な方やお子さんには不向きとのこと。それがわかっていても、熟成されたチーズのごとき上品な味は、是非試してみたくなります。

2.イカではない、コレです。

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こちらの塩辛も・・・

続いて佐賀県から、「カニのガン漬け」。”ガニ漬け”、”ガネ漬け”と呼ばれることも。干潟に生息する小型のカニを使った、塩辛の一種です。有明海の河口域の、地盤の高いところに巣穴を掘ってすんでいる3cm程の小蟹、シオマネキ蟹。その蟹を活きたまますり鉢などで砕き、塩、醤油、赤唐辛子等で調味して発酵させたもの。塩辛という通り、なかなかにしょっぱいらしいのですが。蟹一升に塩三合の割合とのことなので。出来上がりは、濃い緑褐色をしています。カニを活きたまま調理するため、その旨味や風味がギュッと凝縮!やはり酒の肴にピッタリなもよう。ご飯のお供にも、もってこいとのこと。お茶漬けにもよさそう。更に、パスタにからめたりピザのトッピングにしたりと大活躍。実際、有明海パスタなるメニューもあります。”いつもの”、に、一味アクセントを加えたいときはもってこいという感じですね。ただ、カニの独特の風味と殻の感触があり、地元の人以外は抵抗を感じることもあるそう。とはいえ、殻のシャリシャリした感触が楽しめそうな逸品です。干拓工事によって、有明湾のシオマネキの生活場所が、最近は狭くなってきたとのことですが。貴重な干潟が、そして珍味が、なくならぬよう・・・

3.これが本来の・・・

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原型です!

和歌山から、「サンマのなれずし」です。魚を塩と米飯で”乳酸発酵”させた食品。現在ではお寿司は酢飯を使いますが、なれずしは乳酸発酵により酸味を生じさせるもの。お酢を使っていないのに酸味があるのは、この発酵のおかげ。これが本来の鮨の形態なんですね。なれずし向きのサンマは、三陸沖から南下してきた、脂の落ちたもの。この脂ののっていないという条件こそ、おいしいなれずしには重要なのです。
なれずしは、冷蔵庫などとは無縁だった古代に、動物性タンパク質を保存するための知恵として生まれたとのこと。万葉の時代には発酵させる際に、竹やバショウの葉で包んでいました。今の握り寿司のルーツだともいわれています。味は、さわやかな酸味が特徴。食感はお餅に近く、ねっとりしています。これに絶妙な塩加減が合わさるとなれば、お箸が止まりそうもないですね。実はこのなれずし、美肌効果もあるそう。豊富に含まれる乳酸菌が胃腸を整えてくれるおかげです。さすが、発酵食品!特に、”東洋のチーズ”とも称される、数十年ものの(?)なれずしなどは、一日一舐めするだけでも整腸作用は驚くべきものだとか。ひいては便秘も解消。蓄積されていた毒素も徐々に身体から抜け、美肌になるというのもうなずけます。日本の伝統食は、厳しい状況にあるとされますが。美容効果抜群のなれずし。後世に伝えていかなくてはなりませんね。

4.デトックス食品?

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確かに珍味中の珍味。

お次は石川県から、「フグの卵巣のぬか漬け」です。本来は猛毒であるフグの卵巣。それを伝統食に変えてしまった知恵に脱帽?!毒が抜けるメカニズムは解明されていないとのことですが。まず、卵巣をたっぷりの塩で漬けます。というより、塩の樽に卵巣を埋め込むといった感じ。置くことひと夏。水分も抜けて堅くしまった卵巣を、翌年の冬、糠で本漬けにします。その後木樽に詰め、土蔵に寝かせて更にふた梅雨。この間、イワシやサバで作ったの塩漬け汁、”いしる”を常に漬け樽にさして、空気中の微生物を防ぐのだそう。そして夏になれば、発酵が始まるのです。じっくり時間をかけて、毒を抜いていく。待ちに待って、やっと食べられる段階になったときのうれしさ。それはひとしおでしょう。
 味のほどは。もちろん、しみるほどの塩辛さ。いや、それこそが毒が抜けている証です。塩辛いとなれば、ご飯に乗せて美味。お茶漬けなら、わさびや三つ葉を添えてどうぞ。お酒やお酢をかければ、おつまみにぴったり。焼いてみれば、魚卵のプチプチと弾けるさまに、食欲をそそられます。つぶつぶした食感がクセになりそうな、フグの卵巣。毒だとわかっていても食べたい、なんとしても食べられるようにしたい。先人たちの勇気と工夫に、発酵を促す微生物に、ありがたさを感じないわけにはいきません。食に対するあくなき探究心が生んだといえる珍味です。

5.この地では、この魚を。

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身もいいですが・・・

今度は「サケのめふん」。北海道の珍味です。この名称の語源は、アイヌ語の”腎臓”を意味する”メフル”だとされています。めふんは、オスのサケの腎臓を使って作る塩辛。なるほど、同じ内臓のレバーに似ていますね。発酵珍味に塩辛系が多いのは、やはり日本の伝統食ならでは。作り方は、サケから取り出した腎臓を水で洗い、塩漬けにするだけといったシンプルなものです。食感は、とろりとしていて表面はつるり。意外にかみごたえがありながら、硬くはなくといった感じ。味は、イクラの醤油漬けにも近く、でもぜんぜん生臭くなく。ほとんどの人は、お酒のおつまみとしていただくそうですが。オーソドックスに、ご飯のトッピングやお茶漬けにするのもたまらないとういう人もいます。
 実はこのめふん、ビタミンB12や鉄分が豊富に含まれているのです。これらの栄養素はストレスを回復させる効果があるので、健康食品としても注目されているとのこと。健康食ともいえるものが多いのもまた、日本の伝統的な発酵食品の特徴であります。塩辛が大好き。イカではないものがあれば、是非食べたい。そんな方は、このめふんも試してみてはいかがでしょうか。塩辛ワールドが広がるかも?

6.こちらは野菜。

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葉っぱが主役。

続いて「すんき」。長野県の、特に木曽地方の伝統的な発酵食です。赤カブの葉や茎が材料の漬物。塩を使っておらず、乳酸発酵で作るのが特徴。その昔、塩が貴重だったころに先人たちの知恵が編み出した保存食なのです。前年に漬けたすんきを寒冷な時期に取り出して、陰干しにして保存。これを種にします。それに乳酸菌を接種し、発酵させるのです。塩を使っていない分、独特のすっきりとした酸味が特徴。塩分がないので、しょうゆをかけてご飯のお供にというのが一般的。シャキシャキした食感も、クセになるとのこと。地元木曽では、これまた長野名産、そばのトッピングとしても人気です。更に、お茶請けにももってこいなのだとか。
 このすんきの乳酸菌ですが。ヨーグルトに匹敵するとも!“西のヨーグルト、東のすんき”などともいわれているくらいです。それは、アレルギー症状の緩和、感染症の予防に強力な効果を発揮するとされています。となれば、花粉症に悩む方には朗報?!インフルエンザの予防にも役立ってくれそう。赤カブの葉や茎には、食物繊維が豊富に含まれているのもうれしい限りですね。その点、女性にオススメな発酵食であります。

7.香ばしい・・・

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親戚?

最後は秋田から、「いぶりがっこ」です。野菜(主に大根)を燻煙し、乾燥させてつくる漬物。秋田の方言で漬物のことを”がっこ”と呼ぶことから、この名がつけられました。雪深い山間地では、大根などの野菜を外に出して天日で干すことができないので、室内に吊るして囲炉裏火の熱と煙で干したのがはじまりとされます。雪の多い土地ならではの、保存食なのですね。工場生産が主となった今も、大根を囲炉裏の上に吊るしていぶし、米ぬかと塩で漬け込んでいます。
いぶすことを除けば、いぶりがっこは、たくわんと似ていますが。たくあんとはまた違った旨味が楽しめます。噛めば噛むほど口いっぱいに広がる燻製の香り。ぱりぱりとした食感。ご飯やお茶請けにはもってこい、日本酒はもちろん、やワインなどにもとても良く合うとのこと。独特の香りが煙で燻されるため、表面に茶色あるいは黒い色が付くのも、いかにも香ばしそうです。本来いぶりがっこには、白首の秋田地大根を用いますが。栽培が難しい白首大根は希少なことから、最近では青首大根を使用することが多いそう。横手市山内地区(旧平鹿群山内村)では、いぶりがっこの味を競う”いぶリンピック”が開かれることからも、どれだけ愛されている伝統食かということがおわかりでしょう。よりおいしいいぶりがっこを食べてみたいと思ったら。いぶリンピックの時に秋田を後ずれてみてはいかがでしょうか。

 さて、日本の発酵食をいくつかご紹介致しました。島根の「うるか」や福井の「へしこ」もそうですが、塩辛系が多いのが特徴のようですね。その他にも、京都「すぐき」や東京伊豆諸島の「くさや」。皆さんも、お気に入りの発酵食があることでしょう。そう、そして発酵食品は、健康食でもありますよね!それも微生物のおかげ。発酵の過程でにおい成分を排除し、旨味を作ってくれます。よって発酵食は味わい深く旨味も豊かに。発酵作用のある微生物は生き残るため、他の微生物(腐敗につながるもの)の繁殖を防いでくれます。なので、発酵食は保存に優れているのです。更に、発酵過程で栄養成分が高くなるといううれしいおまけも!発酵食に恵まれた日本。発酵食品は元々大好きという方も、自身の発酵レパートリーを増やして、ますます健康になってしまいましょう!

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Maggie Cheung このユーザーの他の記事を見る

香港、台湾、中国そしてタイが大好きで、アジアをこよなく愛する心の旅人。英語は仕事で、中国語は趣味。スピリチュアルや占いにもちょっとうるさいライター。自身のレーダーがとらえた情報を、考察をまじえつつ発信していきます。

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