「NEWS 23」で放送された下関市の障害者施設での虐待映像が波紋を読んでいます。

職員が障害者の頭を何度も叩く、「殺す」「バカタレ」などの暴言、ハサミを持って脅すような行為も映っています。

内部告発で虐待が明るみに

「NEWS 23」のホームページにこの映像を投稿したのは現役の職員、Aさん。

虐待に気づいたAさんは上司に訴えますが、何の対応もしてもらえなかったといいます。下関市にも虐待を通報していましたが、職員の聞き取り調査では虐待とは認定されませんでした。

Aさんが密かに撮影していた映像をニュース番組に送るという形で虐待の実態がはじめて明らかになったのです。

障害者施設での虐待は全国で1年間に1860件の通報がありますが、そのうち虐待と判断された件数はおよそ14%。

出典 http://news.tbs.co.jp

閉鎖された施設内での内部状況は関係者が意図的に隠蔽してしまえば証明することが容易ではありません。

この施設では作業部屋が密室状態にあり、ほかの職員の目につきにくいということなどから、日常的に虐待が行われていたようです。

福祉労働者の低賃金と人手不足の問題

障害者の方には言葉をうまく話せない人もいますが、周囲の反応に対してはとても敏感です。知識のある職員なら暴力や暴言が障害者にどれほど恐怖を与えるか想像できるはずです。

しかし、福祉労働者の賃金は低く、訓練を受けた人、熱意のある人が集まりにくいのが現状です。

どの職業でも同じですが、労働者の生活が保障されなければ、サービスの質は低下します。処遇の悪い職場で虐待に加わる職員が出てくることは他の施設でもみられることです。

賃金への不満、障害者とうまく意志の疎通ができないストレスなどが、支援を受ける側へと向かってしまうのです。

社会福祉全体の見直しが必要

高齢者介護の現場でも虐待がたびたび問題になりますが、2015年は9年ぶりに介護報酬が引き下げとなりました。

「人材確保のため職員の処遇改善をより促すべき」が48.7%でトップ。「人材離れやサービス低下を防ぐため介護報酬を下げるべきではない」の33.5%、「高齢者が増えるので介護報酬の削減はやむを得ない」の16.0%と続きます。

出典 http://seiji.yahoo.co.jp

Yahoo!ニュースの意識調査では職員の処遇改善を優先、介護報酬を引き下げるべきではないと考える人が過半数を占めました。

虐待が起きた施設だけの問題、職員個人の問題で終わらせてしまえば同じことの繰り返しです。誰もが安心してサービスを利用できるよう、社会福祉全体の抜本的な改革が望まれます。

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華蓮 このユーザーの他の記事を見る

子供の頃から不思議なものを見つけたら調べずにはいられない性格。ちょっと恥ずかしがり屋なのはご愛嬌。一般の人が知らない「面白い」を探すのが私の喜びです。

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