昨年5月に生まれた初孫が、先日、1才の誕生日を迎えました。
お祝いのおもちゃはもちろん贈りましたが、将来、本人が大きくなってから、
おじいちゃんから毎年、誕生日に電報が送られてきていて、それをいい思い出として、
折にふれ読み返してくれる、そんな期待を込めて、お祝いの電報を送ろうと、
「今はNTTだけではないからな」と思いながらネットで調べてみたら、
その種類と、電報と一緒に届けられる品物の豊富さとにビックリ!

まず、「ギフト電報」とも呼ばれる、そのギフトのいくつかを
ピックアップしてみます。

出典NTT東日本  ©DISNEY

本家NTT東日本、西日本は、シンデレラの「ガラスの靴」

かわいいぬいぐるみ付きの電報や「フラワー電報」は、よく知られていますが、
最近は、このようなものまで、電報とセットで販売されています。
今年の4月25日、ディズニー映画の最新作「シンデレラ」の公開と同じ日に
販売が開始されたのが、NTT東日本とNTT西日本の「シンデレラDENPO(ガラスの靴)」
美しいカッティングが施されたガラスの靴は金色の蝶の飾りで高級感を出し、
インソールには映画「シンデレラ」のロゴが刻まれています。
クッションの台座にも「シンデレラ」のロゴが入っていて、受け取った方は、
このクッションにガラスの靴を置いて飾っておけるというわけです。

お値段は、かぼちゃの馬車が描かれたケースに、靴とクッションとメッセージ入れが
入って1万800円(税込み)。これに電報のメッセージ料金がかかるわけですが、
普通、50文字程度として、お祝い電報なら1,000円から1,200円ぐらいです。
電報としては少々お高い感じはしても、大切な方への結婚祝いや誕生日のお祝いと
思えば、そんなに高額な品というものでもないのではと思います。
NTT東日本の広報担当の方は「おかげさまで、たくさんのお客さまに
ご利用いただいています。お祝いのためだけではなく、プロポーズにあわせて
サプライズでお使いいただくということもいかがでしょう」と言っていました。

さらに攻めるNTT東日本、「お掃除券付き」電報の販売開始。

「ガラスの靴」電報が若い客を対象にしたものなら、中高年向けのギフト電報が
あってもいいのでは、ということでしょうか、
「えらべるお掃除券ギフト電報」が5月8日、販売開始されました。
エアコン、レンジフード、キッチン、浴室清掃の4つのメニューから、
電報を受け取った方がひとつ選べるというものです。
価格は、電報料は別で12,960円(税込み)。
販売開始日からもわかりますが、用途としては母の日のプレゼントとして、
感謝のメッセージを添えて、ということがまずありますが、
出産のお祝いや敬老の日のプレゼントとしてもいいですね。
ただし、配達できる地域が東日本エリアに限られるため、例えば、
関東地方に住む人が、関西や中国・四国、九州方面に住む方に送ることはできない
とのことなので、ちょっと残念です。

民間業者も信頼性とアイデアで勝負。大手総合警備会社も参入。

綜合警備保障株式会社(ALSOK)といえば、誰もが知ってる総合警備会社ですが、
そのALSOKも電報ビジネスを展開しています。
日本全国に張り巡らされた自社インフラ網を活用できる新規事業として、
2010年に電報ビジネスに参入しました。

ALSOKの広報担当者は、自社のネットワークの信頼性が
セールスポイントのひとつであると言っています。
全国どこでも基本的には社員が、緑ナンバーの営業用普通貨物自動車や
バイク、自転車、また公共交通機関などを使って配達しているとのこと。
でも、配達先の住所が分かっていても、その家が過疎と言われる地域に
あったりすると、実際に配達先を特定するのが大変だったりしないだろうか、
そんな疑問には「警備業務のために購入している地図データがあり、
事前に所在地を確認しています」と答えてくれました。

その名も「ALSOK電報」と名付けられた様々な種類の電報の中には、
「3D電報」という新商品があります。独自の3D技術を使って、
胡蝶蘭やバラの花束の絵が立体的に見えるその様子は、
ALSOK電報のWebサイトで実際に見られます。
受け取った方は、美しいフォトフレームとして飾っておくということもできます。

出典ALSOK

独自の技術を使った、ALSOKの「3D電報」

民間初の電報サービス10周年を記念した「懸賞電報」

お年玉付き年賀状は、よく知られていますが、「懸賞付き電報」は知らない人が
多いのではないでしょうか。
これは、2002年にどこよりも早く民間の電報サービス「VERY CARD」を
スタートさせた株式会社ヒューモニーが、2012年に、その「VERY CARD」の
10周年を記念して、新しい電報サービスとして始めたものです。
創業者の長谷川博之氏は、起業する前、バリバリの営業マンとして
日夜、仕事に励んでいたころ、顧客のお祝い事やお悔やみの電報を打つ機会が多く、
その料金の高さに不満を抱いていたそうです。
そして、もっと安価で多くの人が気軽に使える電報サービスができないかと考え、 
ビジネスとして始めようと考えました。
当時は、電報はNTTの独占事業でしたが、規制緩和の流れを読んでいた長谷川氏は、
法改正を待つことなく、むしろ「規制緩和」という、その時代のキーワードを
自ら実践するかたちで起業し、それからほどなく法改正により民間事業者でも
電報サービスが可能になった、というわけです。

出典ヒューモニー

「VERY CARD」

「VERY CARD」は創業者である長谷川博之氏の「できるだけ安価な電報を」という
思いを象徴する1,382円(税込み、個人で利用の場合)~という低料金になっています。
350字までのメッセージ料と送料が含まれていて、
ヒューモニーは「文字数によって料金が高くなるNTTと較べて約3分の1という安さ」
としていますが、コストダウンの実現のために、電話での申し込みはできず、
インターネット限定になっています。

この「VERY CARD」に懸賞をつけたものが「懸賞電報」ですが、
どのような仕組みになっているかというと、電報を送る人が、ネットで申し込む際、
懸賞を「利用する」をクリックして申し込みます。そのための料金はかかりません。
受け取った方は、「VERY CARD」に記載されている懸賞ナンバーと自分の住所、
メールアドレスなどを応募用のサイトに記入して、送信するだけ。
抽選の結果は、メールで届きます。
これまでの賞品は、コーヒーメーカー、自転車、マッサージクッション、
それに高級食材など。
なお、弔電には対応していません。それはそうですよね。

このようなギフト電報のアイデアは、ほかに、フィギュア付きの「ウルトラマン電報」、
イタリアのベネチアで職人が作った一点ものの伝統工芸品を電報と合わせて贈る
「ベネチアンメッセージ」、
ひらがなやアルファベットが一文字ずつ書かれたマシュマロを組み合わせて
メッセージを作り、メッセージカードと一緒に送る「マシュマロ電報」などなど、
本当に多彩、バラエティに富んでいます。

年々、縮小している電報マーケットだが、10年先は?

電報の発信総通数は、昭和38年(1963)をピークに年々、減少しています。
とりわけ、ここ数年のインターネット、携帯電話、メール、スマートホンなどの
急速な普及は、より一層「電報離れ」を加速させましたが、
それでも、今、NTT東・西の2社だけでも年間1000万通近い電報が発信されています。
相当な数だと思いますが、ただ、この数字のほとんどが「慶弔電報」で、
冠婚葬祭用に使われているのが現状です。
「規制緩和」のなかで、電報サービスをビジネスとして始めた民間各社も、
その扱いの約7割は法人の顧客が占めていて、その顧客がいるからこそ、
縮小するマーケットでも何とかやっていけている、という見方も
できるのではないでしょうか。
では、電報は、このまま減り続けて行き、やがて終わる時が来るのでしょうか。

電報について、いろいろ話を聞いているうちに、ふと浮かんだのが、
最近のニュースで話題になった「アナログレコードの人気復活」という話。
今、若い音楽ファンがリードするかたちで、アナログレコードが売れ始めていて、
何年ぶりかでターンテーブルの新製品も発売されたというニュースですが、
これはオジサン世代の見方であって、レコード盤は若者たちにとっては
「新しいモノ」なのですから、「復活」でもなんでもないのだと思います。
何かのきっかけでレコードにふれた若者が、自分たちの身近にあって、
生活の一部のようになっているデジタル音楽とは違うレコードの魅力に惹かれた。
それが広まって行き、NHKが記者のレポート入りで報道するようなブームに至った、
とすれば、電報もそこにひとつの活路を見出すことができないかと、
ふと思ったのです。

せっかく各社がアイデアを競って、これまでにないコミュニケーションツールとして
展開させようとしているのですから、「供給」側は準備が整いつつあると言って
いいのではないでしょうか。
では「需要」はどうか。こちらはまだまだ未開拓の部分です。
昔からの使われ方、それはそれとして、「新しいメディアとしての電報」を
どうアピールして行くか、特に電報というものになじみがない若者世代に向けて、
それを逆手にとって「電報っていいネ!」と思わせる使い方の提案ができるか、
そのあたりが一つのポイントではないでしょうか。

自分で電報を申し込もうとしたことから始まった、今回の「電報考察」、
関係者のお話をいろいろ聞いていて、電報に対する皆さんの思いが感じられただけに、
このまま縮小が続くのはもったいないと、本当に思います。

この記事を書いたユーザー

俵一平 このユーザーの他の記事を見る

日々、「ことばのちから」について考えています。
ここでは映像ありきでない、言葉で伝えるいろいろな方法を試してみようかなと
思います。よかったら、ブログも覗いてみてください。キョンキョンについても
書いています。
http://ohsei.today/

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス