1896年制定以来、120年ぶりの大改正

民法が大改正されるという話はご存じでしょうか?

先頃、新聞やテレビなどで大きく取り上げられていましたね。

民法は実生活と密接に結びついている法律です。この「民法」なる法律が、1896年の制定以来じつに120年ぶりの大改正される予定なのです。これまで小さく「一部改正」を時々繰り返していましたが、全部で1044条ある内の一気に200項目以上に手を加えるようです。まさに大改正ですね!

それにしても1896年以来ですか。当時の世の中の出来事を少し調べてみましたところ、

・アテネで第1回オリンピック開催
・自由党総理板垣退助内相に就任
・日清通商航海条約調印
・歌舞伎座初興行
・初めて映画の一般公開

…など。

まぁ、ずいぶん昔ですね…。ともかくこの民法が大改正される、との事です。

どう変わるのか?中から3つ取り上げてみます

200項目以上に変更を加えるという事ですが、生活への密接度が特に高い次の3つを取り上げてみます。

・法定利率は年5%→3%に変更
・時効消滅が1年→5年に変更
・敷金は原則返還

1、法定利率を年5%→3%に変更で保険金受取額が増加

さて、法定利率→金利のことですね。金利が下がるとどうなるのか?色々なところに影響が出ますが、特に言われていることが、「損害保険金の受取額が増加する」という事です。

不幸にも事故で亡くなったり、重度の障害が残ったりした場合、保険会社から損害保険金を受け取ることになります。(この受け取り金額はライプニッツ係数などを使った専門的な計算で出すのですが、ここの話はカットします!)

この受取金は『もし事故に遭っていなかったら、“その後”これくらいの収入があったであろう』金額のことです。一括で受け取ります。

しかし、それにはそのお金を預けたりして「金利で増えたであろう利益」をあらかじめ総額から差し引かれます(中間利息控除と言います)。しかし、ここが分かりにくい!!

上記の”その後”の具体的な期間の査定が例えば10年とします。一括で保険金を受け取って、10年間運用していたとしたら金利で最初の受け取り金額より多くなりますよね!?

この金利分をあらかじめ差し引かれて、残りの金額を受け取るわけです。そして、この金利が5%→3%へ下がります。差し引かれる金利が下がると受取額が改正以前と比べて増えるという理屈です。

出典港街太郎

図を見てください。大げさに描いています。あくまでもイメージです。

ピンクの部分が差し引かれる「金利で得た(であろう)利益部分」です。総額が同じなら、引かれる金利が低い方が受取額(緑の部分)は当然増えるわけです。(金利の計算は複利運用ですのでもう少し複雑です。説明はカットします!)

おわかり頂けましたでしょうか?

受取額が増えるのはいいが、しかし疑問も残る

保険会社目線で見ると、支払額の増加=負担になりますよね?

「支払いが従来より多くなりましたね、はい、そうですか」で進みますかね?どうでしょう?

増えた金額分が保険契約者の皆様に跳ね返ってくる可能性もありますよね、保険料金の値上げとか…。このあたりの話は今後、ご契約の保険会社から何かお知らせがあるかも知れませんね。注視しておきましょう!

2、短期の時効消滅が5年へ変更

正しくは短期消滅時効の「廃止」です。

調べてみると「飲み屋のツケから逃げられない」という話が多いです。飲み屋さんでのツケは現在(改正前)1年で時効になります。飲み屋さんが「お〜い!この間のツケを払ってくれよ〜!」っていうのが1年経てばその権利を失うわけですね。

この権利(債権)は業種職業別などにそれぞれ設定されています。例えば、

・レンタルDVD代金やホテル、旅館の宿泊料などは1年
・小売店や労働者の賃金などは2年
・病院の診察料などは3年

というように設定がバラバラなので、こういった短期に時効になるものについては原則5年にしましょう、というのが主旨です。

しかし何でもかんでも全ての債権が5年になるのかというとそうではありません。ここが分かりにくい!!

一般的な債権の時効は「10年」です。ベースになっている決まりです。ここはどうやら変更はなくそのまま。つまり短期時効期間が設定されているものについては「5年」、そうでないものは従来通り「10年」というわけです。

一般的な債権というのは例えば、知り合いにお金を貸したりした時など。この場合は10年ということになります。この5年・10年の違い部分の説明をしているところは少ない?と思いますが、ここを書かないとごっちゃになってしまいますよね。

とにかく飲み屋のツケに関しては踏み倒そうなどと考えず、支払いましょう(笑)!

3、敷金は原則返還に

賃貸の契約をされている方ならこの敷金の話は馴染みがあると思います。「敷金は部屋を出て行ったら貸主が借主に返しなさいよ」というのが主旨です。え?こんな事って、ちゃんと決まりになっていなかったの?という感じですね。

基本は返還ですが、家賃を滞納していたりしたら引かれます、当然ですが。あとトラブルが多いのは「原状回復費用」です。「どういったケースは貸主側の負担」なのか、反対に「どのケースは借主側の負担」になるのかといった事を明確に規定する予定となっているようです。

まぁこのあたりは普通の生活でだんだん壁紙が変色したとかは貸主側、酔っ払って壁にへこみを作ったとかは借主側など、常識的な判断になるでしょうけど。

改正ポイントは上記の他にも、保証人保護の強化や定型約款の新設、瑕疵担保責任の契約責任範囲や認知症高齢者による契約は無効など重要な部分は他にもありますが今回は割愛させていただきます。

改正民法の施行はまだもう少し先

お!決まったか?で、いつから?と思われるでしょう。

2015年3月現在に国会へ法案の提出が行われ、そこから審議や国会で可決成立、公布に施行とまだもう少し時間がかかります。ですので本当に厳密に言えば、全て決定はまだしていません。決定はしてませんが決定は濃厚だろうと言われている状態です。

いつからかは、もちろんハッキリとは決まってませんが新スタートはおおよそ後2年くらいからと言われています。

改正後の法律は、改正後からの新たな契約から効力が生じる

他の法律もそうですが、原則的に新しい法律は「施行後からの新しい契約」から効力が生じます。

つまり改正前までの法律で契約している事はそれまで通りです。新しい法律はそれまでの古い法律へまで効力はさかのぼりません。(法律不遡及の原則)

以上いかがでしたでしょうか?

皆さまの生活にも影響が出る可能性もあると思います。今後も民法改正にまつわるニュースがあった時は注視されて下さいませ。

(文=港街太郎)

この記事を書いたユーザー

港街 太郎 このユーザーの他の記事を見る

公式ライター。法律関連話題など幅広く。神戸市在住。

権利侵害申告はこちら