第87回米アカデミー賞 長編アニメ部門に高畠勲監督の『かぐや姫の物語』がノミネートされました。

かぐや姫の物語 プロローグ

出典 YouTube

実に8年の歳月と50億円という製作費が投じられたジブリの長編アニメ『かぐや姫の物語』の高畑勲監督に関して書いていきます。
高畑さんの作品は『ホーホケキョ となりの山田君』を発表した1999年以来ですので、とても久しぶりになります。
アニメーターの描く線を生かし、背景も動画のタッチで描かれ一体となるような演出のアニメーションは日本だけではなく、海外での評価も高かったようです。

高畑さんは東映動画という製作会社でアニメ業界のスタートをきります。
ここでは、宮崎駿さんをはじめ、大塚康生さん(ルパン3世や未来少年コナンなどを手掛けたアニメータ)などとも一緒に仕事をします。
そして、長編アニメ『太陽の王子 ホルスの大冒険』を監督(演出)として手掛けます。
しかし、高畑さんはとにかく細部にこだわり、妥協せず、徹底的に調べる監督でもあります。
そのため、この作品は大幅に完成が遅れます。完成が遅れるということは、それだけ製作費用がかかることを意味します。しかも、後に高い評価を得るこの作品ですが、興業的にはさんざんでした。ついには、責任を問われるように東映動画をやめることになります。

高畑さんは次に移ったAプロダクションで、宮崎駿さんとともに『ルパン3世 第一シリーズ』にも関わります。
また、『となりのトトロ』のルーツになったと言われる劇場アニメ『パンダ・コパンダ』も制作しています。

このような道のりを歩んでいた高畑さんや宮崎さん達ですが、必ずしも順風満帆ではなかったようです。
とかく、ヒット作品に恵まれない状況が続いたのです。

そんな高畑さんが一躍、日の目を見たのが、現・日本アニメーションに移った時に手掛けた『アルプスの少女ハイジ』でした。宮崎駿さんとのコンビも継続、当時のプロデューサーが「超人的」というほどのスピードでアニメを描き続けて作品作りに参加しています。
この児童文学という題材で日常を描く『アルプスの少女ハイジ』は当初は、視聴率も期待されていませんでした。しかし、ふたを開けてみれば平均でも20%を超える視聴率をただき出します。この成功により、日本名作劇場というアニメシリーズが生まれました。高畑さんはこの後、『母をたずねて三千里』『赤毛のアン』などを手掛け、日常をアニメで描くということを主題の中心に置き、ジブリ作品にもつなげていきます。
ちなみに、宮崎さんにとっても初めての大きな成功体験でした。
宮崎さんは「世の中のすみっこでやっている気がしたのに、突然、世の中に出会った気がした」と語っています。

この宮崎さんとのコンビですが、『赤毛のアン』の時に終わりを迎えます。
宮崎さんが置手紙をして、途中で仕事をやめてしまったと言われています。
詳細はわかりません。
ただ、後にもはっきりとアニメ作りに現れますが、空を飛ぶ宮崎さんと、地に足がついた高畑さんの作風の違いに関し、折り合いがつかなくなったことも一つの原因だと思われます。

高畑さんはこの後、『じゃりン子チエ』でさらに成功をおさめます。大阪の下町にこだわり、声優に吉本興業の芸人などを起用しました。

一方、宮崎さんはといえば、一定の期間を経て、『風の谷のナウシカ』を手掛けるチャンスに巡り合います。この作品にはスタジオジブリの後の社長、鈴木敏夫さんの働きかけも大きく影響しています。
はじめてのオリジナルアニメを手掛けるチャンスを得た宮崎さんは、プロデューサーに高畑さんを指名したのです。しかし、高畑さんは難色を示し、首を縦にふりません。それどころか、大学ノート1冊にまとめたプロデューサー論を提示し、自分が向いていないことを訴えました。
両者の交渉に関しては、『じゃりン子チエ』の製作をきっかけに高畑監督とも仲良くなった鈴木敏夫さんが当たっていました。その鈴木敏夫さんにめったに飲まない酒に誘った宮崎さんは、涙ながらに訴えたと言います。
「俺は青春のすべてを高畠勲に捧げた。なのに、何も返してもらっていない!」と。
この言葉を聞いた鈴木さんは、すぐに高畑さんのところに向かい、声を荒げて言いました。
「高畠さん、やっぱりプロデューサーをやってください! 宮さんがやってほしいと言っているんですよ。宮さんはあなたの友達でしょう! 友達が困っているのに、あなた、力かさないんですか!!」
この言葉に高畠さんは、しばらく沈黙したと言います。

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